チュリチネブリ オレンジワイン ツィツカ ツォリコウリ2019 クヴェヴリ オーク熟成

チュリチネブリの「Tsitska Tsolikouri 2019」は、イメレティ地方の伝統的なアンバーワインスタイルを体現する、エレガントで構造的な一本です。グラスを傾けるとまず目を引くのは、深みのある琥珀色にほんのり金色を帯びた色調。香りは、熟した白桃や黄色リンゴ、干しアプリコットといった完熟した白系果実に、カモミールやアカシアのような野花のニュアンスが重なり、非常に華やかでありながら落ち着いた印象を与えます。口に含むと、まず感じられるのは、野生酵母由来の複雑な奥行きと生き生きとした酸味。続いて、8か月のスキンコンタクトがもたらす繊細なタンニンが広がり、口中にベルベットのようなテクスチャーを残します。さらに、後半にはフレンチオークの樽熟成によるほのかなバニラやトーストのニュアンスが加わり、果実と酸、タンニンの調和を支えています。余韻は長く、ミネラルを感じる清潔感のあるフィニッシュが印象的。ワイン全体が見事に統合されており、アンバーワインの奥深さとイメレティのテロワールが豊かに表現された1本です。

イメレティ地方・スヴィリ・マイクロゾーンのテロワールを最大限に生かすべく、緻密かつ伝統的な製法で醸造されています。使用されるブドウは、ツォリコウリ70%、ツィツカ30%の比率で構成され、それぞれが最適な成熟状態（酸7–7.5 g/l、糖度23–24 g/l）で早朝に手摘み収穫されます。収穫後は除梗せず、房ごとクヴェヴリ（地中埋設型の素焼きのアンフォラ）へと投入。自然酵母による発酵が行われ、8か月にわたる長期マセレーション（スキンコンタクト）が実施されます。この工程により、豊かなフェノール成分と滑らかなタンニン、そして典型的なアンバーワインらしい構造が育まれます。発酵・熟成後、ワインはクヴェヴリから引き抜かれ、さらに3か月間フレンチオークで熟成。これにより、ワインに繊細な樽香と柔らかいテクスチャーが加わり、全体のバランスがより洗練されます。清澄や濾過は最小限、SO₂も極少量に抑えられ、土地の個性と品種の表現を尊重した「自然に語らせる」哲学が貫かれています