じわじわ広がるオレンジワイン。
最近、ワイン好きの間で話題にのぼることが多くなってきた「オレンジワイン」
その名前から「オレンジの果実を使って作られたワイン?」と誤解されることもありますが、実はまったく違います。オレンジワインとは、白ブドウを赤ワインと同じように皮ごと発酵させて作る特別なスタイルのワインのこと。
日本ではまだ「ちょっと珍しいワイン」という位置づけですが、海外のワインラバーたちの間では「第4のワイン」としてその存在感を確実に広げています(ちなみに、赤・白・ロゼに次ぐスタイルです)。見た目は美しいアンバーオレンジ、味わいは白ワインにはない複雑さ、そして自然派の製法…。
これまでのワインの常識を心地よく裏切ってくれる、そんな魅力を持っています。この記事では、
- オレンジワインってそもそも何?
- どうやって作られているの?
- どんな味がするの?
- どこの国で作られてるの?
- どうやって選べばいい?
といった疑問に、ワイン初心者にも分かりやすく、楽しくお答えしていきます!
オレンジワインの製法とは?
オレンジワインが他の白ワインと一線を画す最大の特徴は、その「製法」にあります。
一般的な白ワインは、ブドウを収穫したあとすぐに皮と果汁を分離し、果汁だけを発酵させます。これによって、透明感があり、すっきりとした味わいのワインが生まれます。
一方で、白ブドウを皮ごと、つまり果皮と種も一緒に発酵させるという、ちょっと意外な方法で造られます。これは、赤ワインの醸造方法と同じ手法。
実はこの技術、目新しいようでいてとても古く、8000年近く前からジョージア(旧グルジア)で使われていた伝統的な技術なんです。
💡スキンコンタクトとは?
この伝統的な技術は「スキンコンタクト製法(skin-contact winemaking)」や「アンバーワイン製法」とも呼ばれています。工程はシンプルでありながら、とても奥深いものです:
-
白ブドウを収穫
完熟させたブドウを丁寧に手摘みすることが多く、果皮の状態が重要になります。 -
クラッシュ(破砕)
ブドウを潰し、果汁・果皮・種を一緒にタンクや甕に入れます。 -
果皮と一緒に長期間発酵
この「皮ごとの発酵」こそが、オレンジワインの色味と風味を生み出します。発酵期間は数日から数ヶ月に及ぶこともあります。 - プレスして液体と固形物を分離
-
必要に応じて熟成
樽や素焼きの壺(特にジョージアでは「クヴェヴリ」と呼ばれる)で熟成させ、さらなる風味の深みを引き出します。 - 瓶詰めし、完成
この発酵中に、果皮からワインへと色素、タンニン、香り成分がじっくりと移っていくのです。
結果として、オレンジ色〜琥珀色の美しいワインが誕生します。
💡なぜ皮ごと発酵させるの?
そもそも「皮を一緒に発酵させる」ことにはどんな意味があるのでしょうか?
それはズバリ、味わいと香りに深みが加わるからです。
果皮にはポリフェノールやアロマ成分が多く含まれており、果汁だけでは出せない風味や構造が生まれます。白ワインには少ない「タンニン(渋み成分)」も加わるため、しっかりとした飲みごたえを持つのが特徴です。
また、天然酵母による自然発酵が用いられることも多く、人工的に何かを加えず、ブドウ本来の力でワインが造られていく過程そのものが、まさにナチュラルワインといえる所以でもあります。
🌿自然と伝統を大切にする造り手たち
最近では、イタリア、スロヴェニア、フランス、日本などでもオレンジワインを作るワイナリーが増えていますが、そのほとんどが自然との共生を目指す造り手によるものです。
彼らの多くは「SO2(二酸化硫黄)」といった酸化防止剤を最小限にとどめ、ろ過も極力控え、“手を加えすぎない”醸造を信条としています。
つまり、「造る」のではなく「育てる」感覚に近いのです。
このような価値観に共鳴し、オレンジワインを手に取る人が増えているのも納得です。特に30〜40代の女性たちの間では、「自然に寄り添った生き方」や「身体に優しいお酒」として注目されつつあります。
味わいと特徴
飲み手によって表情を変えるワイン
オレンジワインは、飲むタイミングや料理、温度によって印象が大きく変わるのも魅力です。たとえば——
- 少し冷やして飲めば、柑橘系のフレッシュな酸味が際立ち、爽やかで軽快な印象に。
- 常温近くまで戻すと、スパイスやナッツのような香りが立ち上がり、奥行きのある熟成感が現れます。
- 発酵食品や個性の強いチーズと合わせると、お互いの風味がふくらみ、まるでペアリングが会話しているような一体感が生まれます。
このように、ひとつのボトルから何通りもの楽しみ方ができるのが、オレンジワインの素晴らしさです。
あなたの「好き」がきっと見つかる
「白ワインは酸っぱすぎてちょっと苦手…」
「赤は重くて食事に合わないことがある…」そんな声にこたえるように、オレンジワインは中間の魅力をバランスよく持ち合わせています。
- すっきりした酸味と果実味
- 落ち着いた渋みと厚みのあるボディ
- ほんのり苦味を感じるフィニッシュ
これらの要素がひとつにまとまり、「奥深いのに飲みやすい」「クセになる味」と、多くの人に愛されています。とくにナチュラルワインを好む人にとって、オレンジワインはまさに理想的な一杯。ブドウ本来の個性を生かした造り手の哲学が、グラスの中にぎゅっと詰まっています。

ナチュラルワインとしての魅力
オレンジワインを語る上で欠かせないキーワードのひとつが、「ナチュラルワイン」
自然派ワイン、ヴァン・ナチュールなどと呼ばれることもあり、ここ数年、日本でも人気が急上昇しています。
特に30〜40代の女性の間では、食や暮らしに「オーガニック」や「サステナブル」といった価値観を大切にする人が増えており、ナチュラルワインはそうした人々にとって、単なるお酒を超えた“ライフスタイルの一部”として受け入れられています。
🍇ナチュラルワインとは何か?
そもそも「ナチュラルワイン」とは何か、簡単に説明すると——
- 有機または自然栽培されたブドウを使用
- 酵母はブドウや空気中に存在する「自然酵母」を活用
- 発酵や熟成において人為的な介入(酸化防止剤や清澄剤の添加)を最小限に抑える
- ろ過や加熱処理を行わない、あるいは極力控える
つまり、「限りなく自然に近い状態で、造り手が手を加えすぎずに仕上げたワイン」のことです。
オレンジワインはまさに、このナチュラルワインの流れの中から再評価されたスタイルです。古代ジョージアで8000年前から行われてきた製法が、今の時代に新しい価値をもって受け入れられています。
🧬添加物の少ないワインが与える安心感
市販のワインの多くには、保存や安定のために「酸化防止剤(亜硫酸塩)」や「清澄剤」などが加えられています。
一方、ナチュラルワインの多くはこれらの添加を最小限に抑え、ブドウが本来持っている力だけでワインを仕上げているのが大きな特徴。だからこそ、
- 「頭が痛くなりにくい気がする」
- 「身体に優しい感じがして、食事との相性も良い」
- 「発酵食品とのペアリングが面白い」
という声が多く、特に食にこだわる人や健康志向の人に人気が高まっています。
🌎ナチュラルであることの“ストーリー”
ナチュラルワインのもうひとつの魅力は、その背景にあるストーリーです。
- 小さな家族経営のワイナリー
- 代々受け継がれる畑や手法
- ブドウの品種ごとに異なる個性
- 地元の土壌・気候・文化を反映した味わい
オレンジワインを口にするということは、ただアルコールを楽しむだけでなく、そのワインが育った土地や人、気候までも感じ取ることができる体験でもあるのです。
オレンジワインの食事との相性
「オレンジワインって、何と合わせたらいいの?」
初めて手に取る人が最も気になるポイントかもしれません。でもご安心を。
オレンジワインは食事と合わせてこそ輝くワインです。
白でも赤でもロゼでもないこの不思議なワインは、実はとても懐が深く、さまざまな料理との相性が抜群なのです。
🥘スパイス料理との相性が抜群
得意とするのは、スパイスを効かせたエスニック料理や中東・アジア料理。たとえば:
- クミンやターメリックを使ったインドのカレー
- ハーブとヨーグルトで漬け込んだタンドリーチキン
- スパイス香るモロッコ風クスクス
- 発酵食材を使った韓国のキムチ炒め

これらの料理と合わせると、オレンジワインが持つ渋みとほのかな苦味、厚みのあるボディが絶妙なバランスをもたらします。
「白ワインじゃ物足りないけど、赤は重い」という料理に、オレンジワインはぴったり。
🧀チーズ&発酵食品にもマッチする
発酵食品との相性も抜群。特に、個性的でクセの強いチーズや、塩気のある発酵食品には驚くほどよく合います。
- 白カビ系やウォッシュ系のチーズ
- ブルーチーズ(ゴルゴンゾーラなど)
- 西京味噌漬けの魚
- 納豆やぬか漬けなど日本の発酵食品も◎
特に和食とのマリアージュを楽しめる点は、日本の食卓において嬉しいポイントです。おばんざい、発酵系の前菜、味噌を使ったメニューにも自然と溶け込みます。
🍖肉料理にも強い!
タンニンを含むオレンジワインは、意外にも肉料理との相性もよいのが特徴です。
- ローストポークやグリルチキン
- 白身魚の香草焼き
- 鴨肉やラム肉のスパイス焼き
「白ワインだと弱い」「赤ワインだと重たい」といったシーンに、ぴったりフィット。
しかも、脂のある肉料理と合わせることで、タンニンが舌の油を流し、口の中をリセットしてくれる効果もあります。
🍽 温度とグラスで変わる味わい
ペアリングを楽しむには、提供温度やグラス選びも重要です。
- 温度は12〜14℃前後がおすすめ(冷蔵庫から出して10分〜15分置くと◎)
- グラスは大ぶりな白ワイン用か、赤ワイン用のチューリップ型グラスが香りを引き立てます
少しずつ温度が上がることで、香りやコクの表情が変化し、料理との一体感がより深まります。
ジョージア共和国とクヴェヴリ製法
オレンジワインの魅力を語るうえで欠かせないのが、その起源となった国「ジョージア共和国」です。
黒海とカスピ海の間に位置し、東ヨーロッパとアジアの文化が交差するこの小さな国は、「ワイン発祥の地」として知られています。驚くべきことに、ジョージアでは約8000年前からワイン造りが行われてきたという記録があり、今でもその伝統は人々の暮らしに根づいています。
🏺クヴェヴリ製法とは?

ジョージアの伝統的なワイン造りに欠かせないのが、「クヴェヴリ(Qvevri)」という素焼きの大きな壺です。
この壺を地中に埋めて発酵・熟成させることで、ワインは年間を通じて安定した温度でゆっくりと変化していきます。この製法には次のような特徴があります。
- 通気性のある素焼き素材が微細な酸素を通し、自然な酸化熟成を促す
- 壺の形状が自然な対流を生み、発酵を助ける
- 地中に埋めることで温度変化が少なく、安定した発酵環境が維持できる
果汁と皮、種、果梗を一緒に壺に入れて発酵させるため、自然なタンニンや旨味、香りがしっかりと抽出されます。
🗾日本の食卓にもなじむ「ジョージアワイン」
近年、日本でもジョージアワインへの注目が高まっています。
特にオレンジワインの存在は、和食との親和性の高さから、グルメな30代・40代女性の間でもじわじわと広がっています。
味噌や醤油、出汁といった発酵をベースにした日本の調味料と、クヴェヴリ製法で生まれたワインの味わいは、共通するニュアンスが多く、驚くほどよく合います。
まとめ:感性に寄り添うオレンジワイン選び
オレンジワインは、白でも赤でもロゼでもない、まさに第4のワイン。
その独自の製法、豊かな香りと味わい、そして背景にある哲学やストーリーは、ただのトレンドにとどまらず、ワインの新しい楽しみ方を提案してくれます。特に、30〜40代の女性にとっては——
- 仕事や家事の合間に、自分を労うご褒美として
- 友人やパートナーと囲む食卓に、ちょっとしたサプライズとして
- 心と体にやさしい“ナチュラルな選択”として
オレンジワインは、味覚だけでなく感性にも寄り添ってくれる存在です。
最初の1本を選ぶときのヒント
もし「気になるけれど、どれを選んでいいかわからない」という場合は、以下のポイントを参考にしてみてください。
- ジョージア産を選べば、伝統的なクヴェヴリ製法を体験できる
- イタリアやスロヴェニア産なら、よりモダンで飲みやすい傾向に
- 瓶の裏ラベルに「ナチュラル」「アンフィルター(無ろ過)」「スキンコンタクト」などの表記があると安心
- ワインショップやセレクトショップで店員さんに「オレンジワイン初心者なんですが…」と聞くのも◎
あなたの日常に、オレンジワインを
ワインは、知識がないと楽しめない
——そんな先入観を持っている人もいるかもしれません。でも、オレンジワインに関してはむしろ逆。
たとえ少しクセがあっても、それを「面白い」と感じられる自由さがあります。日常の中に、少しだけ特別な時間を持ちたいとき。
心が疲れたとき、そんなとき、グラスに注がれたアンバー色のワインが、そっと寄り添ってくれるはずです。
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