ジョージア東部カヘティ地方(品種「サペラヴィ」が有名)に位置する
Tiko Estate(ティコエステート)
2017年に設立された家族経営のワイナリーです。
Tiko Estateとは?ジョージアのサペラヴィ、赤ワインに革新
この地は「オレンジワイン発祥の地」として知られていますが、Tiko Estateはそれだけにとどまらず、
ジョージアの赤ワインを語るうえで欠かせない品種「サペラヴィ」を使った樽熟成スタイルでも注目を集めています。
ワイナリーの中心人物は、Levan(レヴァン)氏とGiorgi(ギオルギ)氏の兄弟。ともにウクライナ生まれでありながら、家族のルーツであるジョージアに戻り、世界各地で培った醸造技術をもとに、伝統と革新を融合させたワイン造りを行っています。
現在、Tiko Estateは年産約3万本・8種のワインを展開し、すでに13か国への輸出実績を持ちます。
特に、カヘティ地方原産の濃厚な赤ワイン用品種「サペラヴィ(Saperavi)」を使用したバレル熟成ワインは、ワイン専門店や高級レストランでも高く評価されています。

家族の物語と“Tiko”という名に込められた思い
Tiko Estateという名は、ワイナリーの設立者である兄弟の母親、Tinatin(ティナティン)氏の愛称「Tiko(ティコ)」に由来します。彼女は、科学者だった夫を早くに亡くし、ふたりの息子をたった一人で育て上げました。
その献身的な姿勢に敬意を表し、ワイナリーの名として捧げられたのが「Tiko Estate」です。
ふたりの兄弟は、大学で醸造を学んだのち、フランス・ブルゴーニュやオーストラリア、アメリカなどのワイン産地で実地経験を積みました。そして2017年、ジョージアへ戻り、自らの理想を形にするワイナリーを立ち上げたのです。
また、Levan氏の妻であるMaria氏もチームに加わっています。彼女はアルゼンチン出身の化学エンジニアで、世界各国で培った醸造知識と分析技術を活かし、Tiko Estateの品質管理と味わいの精度を支えています。
このように、Tiko Estateは科学的知見・国際的経験・家族の情熱がひとつになった、ジョージアでも稀有な存在。
なかでも「ジョージア サペラヴィ」を現代的なアプローチで昇華させた赤ワインは、次なる注目株としてワイン愛好家の関心を集めています。

伝統と現代をつなぐ“ジョージア流”の赤ワインづくり
Tiko Estateのワイン造りは、ジョージア伝統のクヴェヴリ(Qvevri)製法を大切にしながら、現代的な技術も柔軟に取り入れたアプローチが特徴です。
ワインの原料となるぶどうは、すべて手作業で収穫され、十分にフェノールが熟す“ラストピック”のタイミングまで収穫を待ちます。これは、果皮からしっかりと色とタンニンを引き出すために欠かせない工程です。
サペラヴィのような色素とタンニンの豊富な黒ぶどうは、まず除梗・破砕された後、クヴェヴリやオークバレル(樽)へと移されます。
ジョージアの伝統ではクヴェヴリでの醸造が多いですが、Tiko Estateでは赤ワインにおいてはフレンチオークの樽発酵・熟成も組み合わせ、ワインに柔らかさや香ばしいニュアンスを与えています。
さらに、ワインは天然酵母で発酵され、添加物は極力使わず、自然の流れの中で清澄・安定させていくスタイルです。サペラヴィのような力強い品種でも、過度な抽出ではなく、テロワールと果実の個性を引き出すことに重点を置いています。
このように、Tiko Estateの赤ワインは、「伝統 × 現代」「素朴さ × 洗練」が両立した、まさに今のジョージアを映す1本に仕上がっています。

ジョージアワインの個性を映す、サペラヴィ
サペラヴィ(Saperavi)は、ジョージアを代表する赤ワイン用品種であり、ワイン用ぶどうとしては珍しく果皮も果肉も赤い“ティントレラ系”のぶどうです。この特徴から、非常に濃い色合いと高いポリフェノール量を誇ります。
Tiko Estateのサペラヴィは、オーク樽での発酵と熟成によって、品種の持つ果実味に丸みと奥行きが加えられています。若いヴィンテージでも飲みごたえがあり、熟成によってさらにしなやかに、スパイスやバニラのニュアンスが広がるのが特徴です。
🔍 味わいの特徴
- 色合い:深い紫~インクのような濃厚なルビー
- 香り:ブラックチェリー、プラム、カカオ、スモーク、シナモン
- 味わい:しっかりとした果実のボリューム、緻密なタンニン、長く広がる余韻
- ペアリング:グリルした赤身肉、ラムの香草焼き、スパイスを使った煮込み料理など
他国のカベルネ・ソーヴィニヨンやマルベックにも通じるような厚みと構造のある赤ワインでありながら、サペラヴィ特有の酸味や香りの複雑さは、やはりジョージアならではの個性。
Tiko Estateは、その魅力を樽使いとクリーンな発酵で引き出し、「本格的だけど親しみやすい」1本に仕上げています。
海外での評価:世界に広がるジョージア サペラヴィの魅力
Tiko Estateは創業からわずか数年で、イギリス・フランス・アメリカ・日本など13か国への輸出を実現し、国際的な注目を集める存在となっています。
なかでも評価が高まっているのが、サペラヴィを使った赤ワイン。しっかりとしたボディ、引き締まった酸、丁寧な樽熟成のバランスが取れた仕上がりは、食中酒としても扱いやすく、専門店やレストランでの取扱いが増えています。
ワインジャーナル「Sociovino」の特集インタビューでは、
伝統的な品種をモダンに昇華させる造り手」として紹介され、サペラヴィの表現においても、強さだけではなく、繊細さと品格を感じるワイン
として高い評価を得ています。
特に欧米市場では、フランスやオーストラリアの赤に慣れた飲み手から「飲みごたえとエレガンスの両立が新鮮」と評され、
“次に試したい赤ワイン産地”としてジョージアの名を広げる一翼を担っています。
また、アメリカ・ニューヨークの「Astor Wines」やイギリス・ロンドンの自然派ワイン専門店などでもラインナップされており、サペラヴィ=ジョージアの赤の象徴として、Tiko Estateの名は着実に広がりを見せています。

まとめ
ジョージアが“ワインの発祥地”であることは有名ですが、Tiko Estateの赤ワインは、それを現代の感覚にマッチしたワインだと言えるでしょう。
海外で取得した技術とジョージア伝統製法、酒造家であるLevan氏と化学エンジニアのMaria氏もチームに加わり安定と革新のバランスが素晴らしいワイナリーです。
「ジョージア=オレンジワイン」という印象が定着しつつある今だからこそ、あえて“サペラヴィ”に注目する選択は、ワイン好きにとって新鮮で知的な体験になるはずです。
Tiko Estateってどこにあるの?ジョージアどこら辺?
Tiko Estateはジョージア東部、ワインの聖地・カヘティ地方にある小さなワイナリー。トビリシから車で約2時間。アラザニ川沿い、鉄分豊富な土壌と大陸性気候に育まれたぶどうで「ジョージアンネイティブ」の味わいを届けます
名前の“Tiko”って何?ちょっと気になってた…
“Tiko”は創業者兄弟の母の愛称。2017年にワイナリーを立ち上げた際、母への敬意とルーツへの想いを込めて名付けられました。家族の歴史と感謝の気持ちが詰まった名前です
Orange Kisiが人気って本当?
はい!代表作のオレンジワイン「Orange Kisi」は6ヶ月のクヴェヴリ発酵で熟成。金柑や杏の香り、オレンジピール、乾燥桃のニュアンスが豊か。タンニンのバランスも絶妙で、評価××点も獲得した深みある逸品です
使われているぶどう品種ってジョージアの地元ものでしょ?
その通りです!Khikhvi、Mtsvane、Rkatsiteli、Saperavi、Shavkapitoなどの土着ぶどうを活かし、多様なスタイルと地域性をボトルに込めています
兄弟はなぜワイン作りを始めたんですか?
醸造経験を世界各地(アメリカ、オーストラリアなど)で積んだ兄弟が、家族の原点に戻りジョージアでワイン造りを再開。母への想いと国の伝統を引き継ぎたいという強い信念が背景にあります
国際的評価ってあるの?
はい、Orange Kisi 2021はDecanterで92点、また「The Edge Saperavi」はFalstaffで93点を獲得。小規模ながら品質と個性が評価されている要注目ワイナリーです
どれくらいの規模のワイナリーなの?
Tikoは年間3万本規模の小規模生産ですが、ボトルデザインを統一しつつ色違いのラベルで個性を演出し、エチケットデザインも魅力的です。