アラダストゥリ(Aladasturi)は、ジョージア西部で細々と受け継がれてきた希少な黒ブドウです。チュリチネブリが早朝に手摘みし、吊るし干しでうまみを凝縮させたブドウを、クヴェヴリ(素焼きの甕)で自然発酵・熟成させました。生産わずか450本の小さな仕込み。珍しいもの好きのワインファンにこそ開けてほしい1本です。
グラスに注ぐと、透き通るルビー色に淡いアンバーが溶け込んだような色合いが目を引きます。香りの中心にあるのは、干しイチジクやドライチェリー、熟したラズベリーを思わせる赤系果実。そこにシナモンやクローブの甘やかなスパイス、タイムやローズマリーのようなハーブの気配が重なり、明るさだけではない奥行きを感じさせます。口に含むと、果実の自然な甘みとなめらかな舌ざわりが先に立ち、心地よい酸が全体を引き締めます。タンニンは角が立ちすぎず、後味には温かみとほのかなスパイスが残ります。軽く冷やして、香りの広がりを楽しみたくなる赤ワインです。
最初に目に留まるのは、収穫後のブドウを軸付きで吊るし干ししてから仕込んでいるところです。難しい製法の話に聞こえるかもしれませんが、要するにブドウの水分を少し抜き、果実の要素をぎゅっと寄せてからワインにしているということ。そこから干しイチジクやドライチェリーのような香りにつながっていると考えると、選ぶ楽しさが少し増します。アラダストゥリという品種を、いつもと違う角度で知るきっかけにもなりそうです。
日本の夕食の大定番である生姜焼きは、この軽やかな赤ワインの果実味と合う。ポイントは、タレに溶け込んだ玉ねぎやリンゴの自然な甘み。これが、アラダストゥリ種を「吊るし干し」して凝縮させた「熟したラズベリーやドライチェリー」のチャーミングな甘酸っぱさに同調します。重たい赤ワインではお肉の風味を塗りつぶしてしまいますが、このライトさだからこそ、生姜焼きのみずみずしい旨味を優しく引き立ててくれます。
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